第3回

「ダフニスとクロエ」

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本物が放つ 色彩の輝き

写真は、当館にて18日より開幕した展覧会「Je t'aime! 色彩世界へのいざない コレクションよりシャガール『ダフニスとクロエ』」の会場の様子である。色鮮やかなカラー・リトグラフの作品を、三密を避けられるように間隔を空けて展示している。長い臨時休館を経て、再び作品と直接出会う場を開くことができるようになった今、本展は多くの人に本物の作品が放つ色彩の輝きを見てもらえたらと、急遽企画した展覧会である。

展示会場の風景

紀元2~3世紀に書かれたとされるロンゴスの小説「ダフニスとクロエ」は、自然豊かなギリシャの島を舞台に、少年ダフニスと少女クロエの成長を描いた物語である。本展では、マルク・シャガール(1887-1985)の挿絵を付し、パリで1961年に刊行された「ダフニスとクロエ」より、全42場面にわたるリトグラフの挿絵をすべて展示している。愛と平和を描き出す画家として知られたシャガールらしい、浮遊感のある恋人や動物たちのモチーフ、そして全身から生きる喜びが溢れるような人物表現は、私たちを美しい田園風景で紡がれる牧歌的な物語の世界へと引き込んでゆく。
自然豊かな木々や色とりどりの花、豊饒な果実など移り変わる四季を背景に、2人の主人公が生き生きと描かれた様子からは、光と色彩に満ち溢れる外の世界の輝きや、真っ直ぐに愛することの喜びが伝わってくるようである。ぜひ本展での作品との出会いを、新たな生活、そして世界の美しさを見つめ直す端緒としてほしい。

(うらわ美術館学芸員 前田伽南)

「日々の生活とアートをつなぐ:うらわ美術館がいまできること ③ダフニスとクロエ」埼玉新聞 2020年7月21日10面

第1回「桐の咲ける風景」

高田誠《桐の咲ける風景》1933年 油彩、カンヴァス うらわ美術館蔵

第2回「草合(くさあわせ)」

橋口五葉《草合》(夏目金之助(漱石)著 春陽堂刊) 1908年 うらわ美術館蔵

第4回「春」

瑛九《春》1959年 油彩、カンヴァス 60.7×72.7㎝ うらわ美術館蔵

第5回「翼あるもの『バートルビーと仲間たち』」

福田尚代《翼あるもの『バートルビーと仲間たち』》2013年 うらわ美術館蔵