コレクション紹介

埼玉新聞の場合

美術作品を通して、皆さんの日常とアートがつながりあう。うらわ美術館が取り組み始めたこの試みを、地域の人たちに届けたい。

高田誠《桐の咲ける風景》1933年 油彩、カンヴァス うらわ美術館蔵

第1回「桐の咲ける風景」

【清新な魅力 疲れ癒やす】画面の中央、前景に大きく描かれているのは、天に向かってすんなりと枝幹を伸ばした華奢な立ち姿が印象的な桐である。枝先の薄紫色の房のように見えるのは、可憐な小花が連なって咲き満開を迎えた様子を捉えたものだ。桐の花の見ごろは5~6月上旬。空は青く澄んで絹のように光り、遠景の木々…

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橋口五葉《草合》(夏目金之助(漱石)著 春陽堂刊) 1908年 うらわ美術館蔵

第2回「草合(くさあわせ)」

【芸術の域に高めた装丁】大きな石蕗(つわぶき)の葉の間から、桜の花、青海波(せいがいは)、そして鳥や蝶が飛びかう様子が風景のように見える。よく見ると石蕗の葉が、その名前の由来どおり、艶を帯びていることに気付く。この艶は型引きで施された漆によるものだ。美術工芸品を思わせる表紙は、まるで美しい晴れ着の…

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展示会場の風景

第3回「ダフニスとクロエ」

【本物が放つ 色彩の輝き】写真は、当館にて18日より開幕した展覧会「Je t'aime! 色彩世界へのいざない コレクションよりシャガール『ダフニスとクロエ』」の会場の様子である。色鮮やかなカラー・リトグラフの作品を、三密を避けられるように間隔を空けて展示している。長い臨時休館を経て、再…

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瑛九《春》1959年 油彩、カンヴァス 60.7×72.7㎝ うらわ美術館蔵

第4回「春」

【無数の点で描く 生の喜び】画面全体に無数の点が広がっている。黄色、だいだい色、肌色、そして青や緑。わずか5ミリほどの無数の点が、薄く溶かれた透明感のある絵の具で描かれている。さらに、やや大きめの黒や青の楕円状の丸が散らばり、それらは凹凸のある厚塗りの絵の具で塗られている。

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福田尚代《翼あるもの『バートルビーと仲間たち』》2013年 うらわ美術館蔵

第5回「翼あるもの『バートルビーと仲間たち』」

【本や文学への深い愛情】「翼あるもの」は、作者の福田尚代が本を読みながら無意識にページを折っていたことから始まり、100点以上制作されてきたシリーズだ。一ページ折りたたまれるごとに、文章は隠されてゆき、偶発的に残された1行だけを鑑賞者は目にすることができる。

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